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漆器エクストリーマー・喜八工房六代目・酢谷喜輝のブログ。 山中漆器の老舗、喜八工房では、モダンなものから素朴な器まで、常識的なことから非常識的なことまで、誠実かつ刺激的に漆器が愛おしくなるよう提案しています。

アンチ食器洗浄機対応木製漆器

山中漆器雑記 | 2011年9月23日

私は食器洗浄機が好きではない。

 

現在、私が住んでいるところには一応、食洗機がある。しかし、ほとんど使わない。洗い物の食器をセットするのが面倒くさい。セットする時間を考えたら、手で洗ったほうが早い。

食洗機2.jpg

 

そうなると、食器洗浄機対応木製漆器も好きではない!ということになる。っていうか嫌いだ。嫌いなのは、あくまでも食器洗浄機対応の木製漆器であって、食器洗浄機対応の漆器風(漆器調)のプラスチック(ペット樹脂)なら大歓迎だ。

 

プラスチックに化学塗料の食器洗浄機対応漆器風は実に潔い。学校の給食や業務用で大活躍である。手軽に漆器っぽい雰囲気を楽しめる。漆器を使いたいけど食洗機で洗えなければイヤだって言う人は、ここで言うプラスチックの漆器風を是非使ってもらいたい。

 

食器洗浄機対応木製漆器があちこちで売られていて、それがそこそこ売れているというのを聞くと違和感を覚える。これには私の妬み、やっかみの感情もある。めちゃくちゃ私情である。反論、お説教は受付けない。私も他の漆器メーカーが作った「食洗機対応木製漆器」を買い込んで、自分のところで作った漆器と一緒に食洗機の中にぶち込んで色々と試験、実験している。

 

 

食洗機3.jpg

洗浄、乾燥を終えた木製の椀たち。↑

手前のぴかぴかツヤのある椀2個が他メーカー製「食洗機対応木製漆器」、奥にある落ち着いたツヤの謙虚な佇まいの椀2個がうちでつくった「食洗機対応木製漆器」。

 

長時間の高温の乾燥を設定しなければ、意外と「食洗機対応木製漆器」も「対応漆器」も大して問題ないのかな?というのが、今のところの無責任で不確定な実感だ。器自体が熱くて触れないほどになる高温乾燥を繰り返すという試験では、変色したものや、木地自体と漆の塗膜にヒビが入ってしまったものが「対応漆器」、「対応漆器」、両方ともに見受けられた。しかし、これは木地の樹種や下地法、微妙な個体差によって変わってくるものと思われる。これ以上の拷問的実験は「食洗機対応木製漆器」がかわいそうなので、今後は「食洗機対応木製漆器」のみで試してみたい。

 

余談だが、「食洗機対応木製漆器」で、普通に水道水で手洗いしただけで変色したものもある。しかし、その後に、わざと食洗機で洗い直し、長時間高温乾燥させたら元の色に戻った。どないやねん!・・・・「食洗機専用木製漆器」か!?と言いたくなる。・・・・・想定外のことも起こり得るのが木製漆器。。。。。だから、断言してしまうのは少し危険ではないだろうか。

 

たとえ、「食洗機対応木製漆器」が本当に食洗機での洗浄及び長時間高温乾燥に耐え得るほど丈夫だとしても、私は「食洗機対応木製漆器」など絶対にいらない。「食洗機対応木製漆器」と謳われている漆器のほとんどは、ピッカピカのツヤツヤのイヤらしいほどの安っぽいツヤがある。こんなものを使うより、従来の漆の質感を楽しめる「食洗機対応木製漆器」をスポンジを使って手洗いして、愛でながら、自分だけの漆器に育て上げたいと思う。私と同意見の方も多いはずだ。

 

ピッカピカの独特の質感になってしまうのは、「MR漆」という、新しい精製法によって生まれた、従来の漆より丈夫とされる漆で塗り上げられているからで、「食洗機対応木製漆器」のほとんどに、この「MR漆」が塗られている。

 

「MR漆」・・・「ミスターうるし」ではない。そのまんま「エムアール うるし」である。

 

「MR漆」 、最近では艶消しタイプもあるようだ。

 

 

MR漆に関しては、10年ほど前から山中漆器産業技術センターでの講演や勉強会で見聞きし、実際に塗ってみたり、検討したりしたが、本格的に導入するまでには至らなかった。やはり、あのイヤらしいツヤが気に入らなかった。それになんと言っても「木製漆器も食器洗浄機で洗えますよ~!」っていう、世のためになっているのか、なっていないのか、よく分からない流れに乗っかってしまうのが最もイヤだった。

 

MR漆、使い用によってはアリだと思うが、今のところ私にはナシだ。

 

「アンチ食器洗浄機対応木製漆器について」第1弾!取り敢えず、ゆる~く、私なりの結論!

 

対応漆器も対応漆器も、家庭用の食器洗浄機で洗っても大丈夫な時もあるが、木地の具合、漆を塗った時期や個体差、食洗機の設定、専用洗剤の強アルカリ性によっては何らかの問題が生じる時もある。私だったら絶対に「食洗機対応です!」とは断言できない。よって、木製漆器を愛おしく思い、自分とともに漆器が育って(傷んで)自然とツヤが出てくる過程を楽しみたい方には、食洗機対応、対応に拘わらず、手洗いをお奨めする。

 

他の食器と同じように、木製漆器をどうしても食洗機で洗いたい方は、傷むのが早まるのを覚悟で使っていただければと思う。しかし、私のところ(喜八工房)の漆器は選択肢から外していただければ幸甚である。

 

食器洗浄機対応木製漆器については、今後も言及していくと思うが、あくまでも私の主観、使用感、個人的に行った実験結果であり、食洗機対応木製漆器を全否定するわけではない。

 

「アンチ食器洗浄機対応木製漆器」についての第2弾は、またの機会に。

 

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